ホームステイ成功の秘訣

ここは日本ではない、ということを認識しよう。

同じ人間の営みがある先進国とは言え、日本での生活では体験したことのない日常が待ちうけている。 治安がいい悪いという前に絶対に必要なのは非日常にいるという緊張感だ。 日本人同士つるんだり遊ぶことが悪いのではなく、つるむことで気が緩んだり大きくなったり、或いは置かれている状況を勘違いすることが危険なのだ。 英語で話すことには臆病なのになぜか日常行動は日本と同じ弛緩状態。「自分がどう映っているか?どう見られているか?」トイレの前でしつこく髪を直してもそういうことに思い至らない。 実を伴わない「自己責任」を云々する前にトラブルに遭遇した時、助けてくれるのはいつも「他人」であると知ること。「ここは日本ではない。 会う人は全て初めての人。遭遇する出来事は全て未体験の事」という緊張感をいつも心のどこかに持つことだ。

英語が流暢とは誰も思っていない。大切なのは思いを伝えること。

ネイティブのように英語をしゃべることが重要ではない。ネィティブのように話したからといってそれだけで敬意を受けるわけではない。 日本で日本人同士「あの人日本語が上手ねえ」と言って敬意を払うわけではないのと同じである。 もちろん大切な要素だが誰かの真似で話すより大切なのは「自分の言葉と考え」の有無である。 どこへ行っても人が見るのはその人の知性や人柄、能力やマナーだ。言葉が多少下手でもそれらが貶められることはない。

しかしそれらが備わっていなくて言葉ができてもそれは時に無価値に等しい。ただそれが苦しく自分のプライドに関わるのなら学べばいいことである。 語学は誰かに頼って依存しても獲得できるものではない。
外国語の学習においてまず、重要なことは「伝え方」ではなく「伝えたいという思い」だ。極論を言えば身振り手振りに日本語交じりでも良い。 相手に対して今、この思いを伝えたいという意思表示をすることこそが先決なのだ。「劣等感を持たない。同時に外国語に高級感を持たない」心構えを持ち、まず慣れよう。

親しき仲にも礼儀あり。ホテルではなく他人と暮すことである

「お金を払うんだから自由にさせてよ」と言いたいならばホテルに泊まろう。 いつ起きようが寝ようが自由にすればいいだろう。ホストファミリーも不安でゲストの到着を待っている。家庭は親でもないし親友でもない。それを忘れず過して欲しい。 家族が生活する場だから喧騒も争いもあるかもしれない。
しかしそれも「体験」である。いいことばかり起こるような夢の国などどこにも、ない。 一期一会、ホームステイは「不自由を通じ、それを味わうことでかけがえのない体験や交流を知る」場所である。

家庭では、自分ではなくハウスルールが優先である

家庭は社会の中で中核をなす構成単位のひとつである。そこには他の単位である学校や会社と同じように決められた流儀やルールが存在する。 ルールをまず知ること。聞いて覚えよ。異論があれば直接意見を言うこと。それがコミュニケーションであり民主主義の原則である。 ルールや流儀に対し当事者には「いい子チャン面」をしつつ第三者に意義を申し立てたり愚痴を言ったところで何の解決にもならないのだ。

ホームステイは感動の宝庫!でも、いい関係を築けるかどうかはゲストの積極性次第

相手はゲストを多少なりとももてなそうと思って受け入れてくれる。英語が下手なことも知っている。だが何を話していいか分からない家庭も多い。 受け入れる側も客を選べず不安なのだということを覚えておこう。こんな大前提を把握せずしてホームステイに対して「当たった」「はずれた」などと感じることは実は非常に失礼なことなのだ。
関係の基礎はスムーズな言葉のやりとりだけではない。言葉にしようという姿勢と努力が通じるかどうかである。 単語や発音を間違って恥ずかしいことは何もない。自分が恥ずかしがってるだけで、相手は気にしていない。そういう自意識は甘えと同じである。 逆にこの壁を乗り越えてこそ、深い心のつながりが持てるというものである。

家庭が合わないからというワガママでは変更できない

人には相性がある。合わない家庭もあるだろう。合わない家族もいるだろう。 「嫌だな」と思っても一度だけでいい、自分から「おはよう」と言い、自分から声をかけて欲しい。 「すぐやる、かならずやる、できるまでやる」。相手のせいにする前にトライしたらそれが財産になる。 それでもダメなら誰かに仲立ちしてもらうか意見を聞けばいい。

積極的に家事に参加しよう

学生時代に転校生やクラス替えではじめて話す人とは最初、多かれ少なかれ他人行儀なところがあるけど、運動会やクラスの行事等を通じて共同作業をすることで仲良くなった経験は誰にでもあるはず。 家事に限らず、仲良くなるコツの一つは共通作業をすることだ。言葉が足りないなら態度で示そう。それは、 もしかしたら言葉以上にあなたという人間を理解してもらうきっかけになるだろう。

話し合うこと、一緒に行動することが成功への近道

ホームステイの最大の意義は「家族との会話」にある。雨露をしのぐ部屋を貸してもらったり送り迎えしてもらったりだけにあるのではない。 どんな時に行動を共にさせてもらえるかを聞こう。どんな時は参加してはいけないかを聞こう。そして自分はこうしたい、ということを相手に告げよう。

帰りが遅くなる時、人を連れて来る場合などは事前連絡が当り前

ホームステイをしているからって、晩御飯を食べたり、お酒を飲んで帰ること自体を遠慮する必要はない。
しかし、当たり前だが、ホストファミリーはあなたの親ではない。ただでさえ他人を預かる緊張感や責任感があるはず。 仮に連絡一つ入れずに帰宅が遅くなったとしよう。「御飯は作った方が良いのか・・・。」「もしかしたらどこかで何かの事件に巻き込まれていないか・・・。」 こういった心配を常にしているのである。どんな理由であれ、事前に報告・相談・連絡をしよう。これは最低限のマナーのひとつ。
日本の親元で甘やかされて、思いやりがなく、それができなかった人は、この機会にホームステイという海外生活でそれを覚えよう。 他人に思いやりを持ってこそ、一人前の海外生活者だ。

理解できているか、いないかの意思表示は英語力と関係ない

日本人同士が話せば、相手の言う言葉がわからないことは少ない。
しかし互いに理解できたかどうか、は別問題である。それはどこの世界でも同じ。 片方の言葉が拙いから通じないのではなく、多くの場合は通じさせたい中身があいまいだったり、自分勝手な言い分だったりするからで、通じさせなければいけない大切なことならその気持ちをまず表せば必ず通じる。 目の前で子供が溺れている。英語ができない。ならば飛び込んで助けるか、大声を出せばいい。 言葉ではなく、それは「機転」である。これは万国共通なのだ。